「小説の続きがどうしても書けない」という悩みは誰にでも、いつだって起こり得えるもの。
どうやったら克服できるのか、私なりに考えて実践してきたことをお伝えします。
書けない原因を分析する
書けない原因がメンタルに関係しているのか、力量によるものなのか、準備不足によるものなのか。
原因よって対処法が変わってくるため、まずは自分なりに原因を考えてみましょう。
書けなくなる主な原因
・途中で飽きてくる、面倒になってくる
小説を書いている途中で気分が乗らなくなり、テンションが上がらず面倒さが勝ってしまい、そのまま書かなくなる場合です。
・文章を書くのが楽しくない、しんどくなる
書きたいものはあるけれど、頭の中に描いていることを文章にするのが大変に感じてしまう場合です。
・書きたいものが分からなくなる、迷走してしまう
書いていくうちに話が脱線するなどして当初考えていた展開と異なっていき、どう軌道修正すればいいのか分からなくなって途方に暮れてしまう場合です。
当初考えていた展開が書いていくうちにしっくりこなくなったり、悩んでいるうちに「自分はなにを書きたかったのか」と手が止まるケースもあります。
・続きが思い浮かばない
プロットなしで考えながら書いていたものの、中盤あるいはラストが思い浮かばず手が止まる場合です。
・書いている内容に対しての知識が足りない
歴史や現実の出来事・仕組みなど、小説を書くのに必要な知識が足りずに手が止まる場合です。
・自信がなくなる
「そもそも、この話って面白いの?」と、書いているものに対して不安になってくる場合です。
完成前に自信がなくなるケース、ネット上で掲載している連載作品に対して思うような反応が得られずに自信をなくすケースとが挙げられます。
細分化するともっと挙げられると思いますが、今回は上記のように原因を分類しました。
各原因に合わせた対処法
書けなくなる原因が分かれば、それぞれの問題に合った対処法が見つかります。
書き始める前にプロットを作る
・書きたいものが分からなくなる、迷走してしまう
・続きが思い浮かばない
上記に原因がある場合、小説を書き始める前にプロットを作っておくことで対策できます。
プロットを作るというと、緻密に練った構成を書かないといけないと思われるかもしれませんが、「これが正しいプロットの形式」というものはありません。
【作家 プロット】で検索してみると、小説家・放送作家・シナリオライター・漫画家などさまざまな分野の作家さんのプロット形式を探すことができます。
履歴書のような形式もあれば、絵だけの形式、ノートに乱雑に書きとめていく方法、付箋を壁に貼っていく、ホワイトボードに書く……など、実に多種多様な形式があるのが分かります。
プロットは、道に迷わないための地図帳のようなもの。
書き手本人が「これがあれば、書く内容の大体は決まった」と思えるものなら、なんでも大丈夫です。
また、最初から自分に合ったプロットが書けるとも限りません。
例)
「冒頭・盛り上がる中盤・終盤」のシーンだけを考えておいて、細かいエピソードは書きながら考えようと思い書き始めた。けれど実際に書いてみると、エピソードが膨らませられずに手が止まってしまった。
⇒ 全体図だけではなく、詳細なエピソードについても「なにを書くか」プロットの段階で決めておいたほうが、手を止めずに書き進められるという自分のスタイルが判明します。
次回からは、重要なシーンの間を繋ぐエピソードも先に決めておいてから書くのがいい、と自分に合った形式が固まってきます。
このように「プロット作成 → 執筆」を繰り返し、自分に合った形を作ってみてください。
どこまで事実を忠実に反映させるか決める
・書いている内容に対しての知識が足りない
この場合も、まずはプロット作りをきちんと行うことがお奨めです。
プロットを作る過程で、自分に足りない知識が見えてくると思います。調べて分かることはこの段階で調べてメモするか、資料として用意しておくかすると、書いている途中で手が止まることを防げます。
ただ、専門的な知識を要するもの・明らかになっていない歴史など、「掘り下げるとキリがない内容」も存在します。
小説はフィクションです。論文や記事のように、必ずしも正しい知識を読み手に伝える必要はありません。読者も、小説から正しい情報や知識を得ようと完全に信頼して内容を受け取る人は少ないでしょう。
ゆえに、「ここまでは事実に即して書くが、ここからはフィクションで通す」と自分のなかでの割り切るラインを決めておくと、書いている最中の迷いが薄まります。
「本当にそんなので大丈夫?」と不安が消えないのでしたら、商業作家さんを思い浮かべてみてください。
例えば、あの偉大な歴史小説家である司馬遼太郎先生も、書かれている内容は史実と異なる内容がたくさんあります。それでも「小説として面白い」ので、多くの読者が作品を愛してきました。
事実を正確に描写することにこだわったあまり、小説としての面白味が半減してしまうとなっては本末転倒です。
ですので「ここまでは調べたことを反映し、ここからはストーリーの面白さを重視してフィクションで通す」といった線引きをして、書き始めると良いでしょう。
初稿の段階で完璧を目指さない
・文章を書くのが楽しくない、しんどくなる
書く内容は決まっているのに文章を書くことが苦痛になってしまい手が止まる場合、まずは最初の原稿から完璧さを求めない、という自分ルールを定めてみてください。
「文章書くのが楽しくない」というのは、自分が頭に描いているものと、それを文章化する力量や速度が噛み合っていないときに起こりがちです。
考えているものが、思った通りの文章でスラスラと詰まることなく書けると、苦痛は感じないもの。
特に、文章力について向上したいと考えて学んでいたり、新たな書き方を実践していたりする段階では、どうしても思った文章が書けずにしんどくなってしまうことがあります。
ですが安心してください。文章力は、練習によって慣れて身についていきます。「書きたい文章」も最初は使いこなせなくても、慣れてしまえば悩んで手を止めることなく自然と書けるようになります。
ランニングに例えると、走り始めた当初は2kmでリタイアしていたものの、毎日走り続けるうちに5kmまで完走できるようになるのと同じようなものです。
根気よく書けるタイプであれば、悩みながら初稿を書き上げるのも良いでしょう。
ただ、そういった書き方だと苦痛になってしまい、肝心のストーリーを最後まで書き切る前に息切れしてしまう場合は、最初から完璧を目指さないで、まずは最後まで書き上げることをゴールとしましょう。
キャラクターの口調にブレがないか、地の文が少なくないか、描写不足ではないか、拙い文章になっていないか――そういった細かい点はとりあえずスルーして書き切り、推敲のときに書き足して完成させるのが良いでしょう。物語は全て書き切っているので、あとは細かい点を詰めて加筆修正するだけです。
文章を意識しながらストーリーを完成させていくよりも労力が少ないので、息切れしにくいメリットがあります。
簡単にまとめると、このような流れです。
<初稿>
とりあえず書きたいものを書いていく。どう文章表現するかの細かい点は無視して、自分が書きやすい文章でOK!
↓
<推敲>
過不足ない描写ができているか、もっと読みやすい文章表現はできないかなど、丁寧に仕上げていく。
↓
<校正>
もう一度誤字脱字のチェックをして完成。
読者の存在
・自信がなくなる
書いたものが本当に読まれるに足るものか……と自信喪失してしまう場合、「読者の存在」が自分にとってどういうものか見つめ直してみてください。
(完成前に自信がなくなる場合)
まずはじめに、「書いている途中で自分の書いているものが面白く思えなくなる」という現象は、誰にでも起こり得るものです。私も何度も陥ってます。
自分は伏線もオチも全部分かっているので、話の内容を全く知らずに読み始める読者よりも、新鮮な感覚は失われてしまいます。そして推敲や校正など繰り返し同じシーンをなぞっていくことで、どんどん新鮮さは色褪せてしまい「この話面白いか?」と自信がなくなってしまうのです。
作者は、自分が書いたものを面白く思えなくなる――これは当たり前の現象です。
まずは、このことを念頭に置いておいてください。
よって、書いている最中に不安に陥っても「よくあること、よくあること」と言い聞かせて、まずは完成までもっていきましょう。
完成した作品に対して「これって、本当に面白いのかな」と不安になったときは、自分が書きたいものがきちんと作中に反映されているか、見直してみてください。
キャラクターのセリフ、大事なシーン、魅せたい展開など、自分が書きたいと思ったものが書けていれば大丈夫です。そのうえで不安に感じるのであれば「それだけ何度も読み返して、この作品に向かい合ったんだから大丈夫」とGOサインを出してあげてください。
(連載中の作品に対して自信がなくなる場合)
次に、連載作品をネット上で公開しており、思うような反応や感想が来ずに「面白くないのかな」と自信喪失してしまう場合についてお話します。
結論でいえば「面白い作品の全てが注目されているわけではない」ということです。
いま、ネット上では様々な文章作品が無料で読める時代です。作品が溢れかえる中で、自分の作品を見つけてもらうこと自体が奇跡のようなものなのです。
閲覧数が少ない状況では、話の面白さ云々にスポットを当てるのではなく、どう読者を増やすか・どう自分の作品をPRするかに意識を向けるべきで、自分の作品自体に自信をなくすのは方向性が間違っています。
閲覧数が多いのに全く反応がない、という状況ではじめて「自分の作品って面白くないのかな」と見つめ直してみてください。
閲覧数に反して……と言っても、1000人読者がいれば900件くらい反応があるだろう、と思ってはいけません。一般論として、反応をしてくれるのは読者数の1~10%あれば上々と言われています。
例えば「いいな~面白かったな~」と思った作品全てに、毎回いいねや感想を送りますか?
何度も読み返せるようにブックマークはするけど、毎回反応できてない……ということもあると思います。不安になったときは自分の行動に置き換えてみて、あまり読者に期待通りの反応を求めないほうが気が楽になります。
連載しながら書き進めていく場合、途中で読んでくれている人の存在によって励まされて書き続けられる場合もあるでしょう。
ただ、思った反応が来ないことで自信喪失してしまうのであれば、一度完成させてしまってから一話ずつアップしていくことをお勧めします。
読者の存在を意識しすぎないこと。
読者の反応=作品の面白さの度合い、ではないこと。
これを心に刻んでおいてください。
インプットとアウトプットを繰り返す
・途中で飽きてくる、面倒になってくる
上記が理由で手が止まる場合、さまざまな原因が考えられます。
書くものが決まってなければプロット作りから、文章を書くのがしんどくなったのなら初稿で完成度を重視しないなど、これまでにお伝えしてきた対策で解決が見込めます。
書くものは決まっている。
文章を書くのも苦痛ではない。
書く時間も確保できる。
体調が悪いということでもない。
でも、なぜか書けない。
もしかすると、インプット不足が原因かもしれません。
この場合、インプット不足といっても知識量が足りないということではなく、自分の中の創作意欲が涸れてきていると考えてください。
「創作意欲のコップ」が心にあるとイメージして、水量が減っていて新たに水を足さないと、書く気力が起こらないといった感じです。
昔、テレビ番組でお笑い芸人さんがこのような話をされていました。
「自分の中にある”ネタの泉”からネタを引っ張り出してお笑いにしている。だから、ネタを考えることばかりしていると”ネタの泉”が涸れてしまう。こうなったらなにも思いつかないし、お笑い自体を嫌いになりそうになる。そういうときは他の奴のお笑いを見たり、逆に思いっきり泣ける映画を観たり、本を読んだりして、とにかく吸収することに専念する。泉の水が戻ってきたなと思ったら、またネタ出しに戻る」
小説を書くことも同じで、自分の中にあるものを形にする以上、インプットは常に必要になります。インプットが足りずにアウトプット(創作)ばかりしていると、次第に中にあるものが減っていき、アウトプットにも影響が出てしまいます。
小説を書ける土台は十分なのに、なぜか意欲的な問題で小説が書けない場合。
いったん小説を書くことから離れ、散歩したりテレビを見たり音楽を聴いたり思いっきり遊んだりして、自分の中に吸収する時間を大切にしてみてください。
そうして「あー、元気出た」「良い刺激貰った」「また書きたい」と思えるようになってから、原稿に向き合ってみるのが良いでしょう。
以上、大まかに原因と対処法を挙げてまいりました。
細かく詰めると、もっとさまざまな原因や対策があると思いますので、この記事を第一弾として、また続きとなる記事を書くかもしれません。
いったんは、これにてまとめ、とさせていただきます。